弊社でこの春に輸入を計画している台湾の加工食品があるのですが、いきなりコンテナで大量に輸入してしまうと、何か問題があって日本国内に入れられないときに大きな損失が発生してしまうので、前回の台湾出張の際にハンドキャリーで少量を持ち込んで、通関手続きをしました(輸入食品等届出および関税申告)。
検査機関への検体の引き渡しや、輸入許可が出た後の保税蔵置場からの引き取り等、何度か成田空港に足を運んだので、京成東成田線の東成田駅を使ってみました。尚、諸々の検査は合格で無事輸入許可されています。
成田空港検疫所食品監視課(厚生労働省)は貨物地区にある合同庁舎の中にあり、空港第2ビル駅から徒歩10分ほど、東成田駅からでも10分強の距離です(成田空港内マップ)。東成田はお隣の京成成田から京成東成田線で5分ほど(7.1キロ)、東成田から先は「日本一短い鉄道(路線距離2.2キロ)」芝山鉄道線で、芝山千代田までひと駅乗り入れます。
いつもはフライトでバタバタしがちなのですが、時間に余裕があるので、京成成田で空港ゆきの特急を降りて、芝山千代田ゆきの東成田線に乗り換えます。ここからひと駅、7.1キロの短い乗車ですが、駒井野信号場までの6キロは京成本線(成田空港方面)と同じ線路を走ります。
到着した東成田駅は島式ホームで、1番線は京成東成田線の成田、船橋、上野方面、2番線は芝山鉄道線芝山千代田方面になります。そして1番線の向こうにももう一つ、真っ暗な島式ホームが。そこには「成田空港」の駅名標があるのです。
実はこの東成田駅はかつての京成本線の終点、1978年5月21日、成田空港の開港に合わせて開業した(旧)成田空港駅でした。初代スカイライナーは京成上野と今は使われない(旧)成田空港駅の特急ホームを60分で結び、現在の様にターミナル直結ではありませんでしたが、空港アクセスの主役を担うこととなります。
それから10年、バブル真っ只中の1988年6月、石原慎太郎運輸大臣の指示を受けて、数々の反対運動から一部建設が進められながら断念された成田新幹線の成田空港側の完成している区間・施設にJR成田線(空港支線)と京成本線が乗り入れることが発表され、91年3月には空港ターミナルビル直下の(現)成田空港駅(成田第1ターミナル)乗り入れ(成田空港高速鉄道)が実現しました(成田新幹線の東京駅側、東京駅~越中島間の用地は90年3月に全線開通した京葉線に転用)。それと同時に開業から僅かに13年の(旧)成田空港駅は京成東成田線の「東成田」駅に改称されます。92年12月には東成田駅近辺に京成本線とJRの空港第2ビル駅も開業しました。京成の成田スカイアクセス線(正式名称:京成成田空港線。京成高砂~成田空港)の開業は2010年7月です(現在のスカイライナーのルート。在来線最速の時速160キロを誇り、日暮里から空港第2ビルまで最速で36分)。
一方、東成田駅ですが、02年には東成田駅を起点とする芝山鉄道線が開通します。現在、東成田駅(すべてお隣の芝山千代田始発)から京成成田方面に向かう平日の電車はわずかに1日32本、東成田駅の1日あたりの乗車人員は芝山鉄道と合わせて1,200人程度です(東成田から乗らない、京成と芝山の直通客を含む)。かつての空港アクセスの主役だった駅は、名前を変えて空港および周辺に勤務する僅かな人々が利用するとても地味な駅になったのです。
成田でお時間があれば、現役の昭和の遺構とも言える東成田駅に、ぜひ、足を運んでみてください。
【参考記事】乗りものニュース 2018/5/20「『昔の成田空港駅』地下ホームを公開! 京成の東成田駅が開業40周年(写真54枚) 」
改札を出てから右に向かうと、空港第2ビル駅(京成)に向かう殺風景な逆L字のトンネルが、延々500メートルほど続きます。ここを通ってみるのも一興です。