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 「台中パイナップル紛争とソフト・パワー」(4月11日)でも詳述しましたが、中国が輸入を止めたことで行き場を失くした台湾パイナップルは短期間で見事に日本市場に浸透しました。2020年通年の輸入量は2,144トンでしたが、今年は7月末までに17,541トンが輸入されています(下の表参照。表にはありませんが、2020年は7月末までに2,129トンですから、前年同期間比8.24倍に増えました)。日本国内の「台湾支援」の気運も相俟って、一気呵成に市場を獲得したことになります。

 中国の輸入停止措置が急だったこともあり、中国市場用の包材や段ボールを日本向けに流用したケースも多々見受けられ、「台湾パイナップル・ブームに乗じて中国産パイナップルが『台湾産』を偽装して日本に出回っている」と誤解した台湾網友(ネット民)発の流言飛語が日本でも拡散されたのですが、8月末までに中国産パイナップルはひと玉も輸入されていないことが確認できます。シーズンはもう終わってしまいますが(「ミルクパイン」等と呼ばれている、白い品種ももう見かけません)、来春また芯まで美味しい台湾パインを楽しみたいですね。

【参考記事】「台湾パイナップル『産地偽装』騒動の顛末 地元紙の『勘違い』が日本で拡散…店舗側が反論する事態に」JCASTニュース21/4/5

パイナップルの国別輸入実績とシェア(2019年から)

2019年
通年
2020年
通年
2021年
7月まで
フィリピン146,124t
95.36%
152,970t
97.41%
92,438t
83.70%
台  湾982t
0.64%
2,144t
1.37%
17,130t
15.51%
インドネシア1,870t
1.22%
970t
0.62%
857t
0.78%
パナマ94t
0.06%
586t
0.37%
コスタリカ3,809t
2.49%
274t
0.17%
マレーシア338t
0.22%
92t
0.06%
19t
0.00%
中 国6t
0.00%
その他26t
0.02%
0.3t
0.00%
                                                    財務省 貿易統計より


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