久しぶりの投稿になります。最後の台湾出張から14か月が過ぎてしまいました…
2月25日、害虫の検出を理由に中国が台湾産パイナップルの輸入を止めました(2020年の対中輸出は42,121トン、5,036万米ドル)。台湾が輸出するパイナップルのほぼ9割が中国向けだったのですが、その後の経緯はご存知の通りで、台湾当局は内需と日本等への輸出を増やすことで乗り切り、「台湾の民進党政権を窮地に立たせるために輸入停止という暴挙に出た中国共産党」と「日本をはじめとする諸国の協力で苦境を凌いだ台湾」という構図が鮮明になりました。
日本と台湾は共に東アジアにおける自由主義・資本主義陣営にある国であり、両国の経済・産業の結びつきも戦後一貫して強固で、民間の双方向の往来も相当に活発です(2019年に台湾を訪れた日本からの旅行客は累計217万人、日本を訪れた台湾からの旅行客は累計491万人)。2011年の東日本大震災の際に、台湾の各方面から200億円とも250億円とも言われる巨額の義援金を贈られたことは記憶に新しいところですね。今回の日本における「台湾パイナップル・ブーム」はそんな日台2国の(特に民間の)関係に通底するソフト・パワーの顕れだったと思います。
3月中旬までは「台湾を食べて応援」するために買いたくても台湾パイナップルはかなり品薄で、何軒ものスーパーを「パトロール」する人が続出、「台湾パイナップル販売店舗マップ」を作成する人まで現れました(東・西日本に分かれているのでここにリンクは貼りませんが、検索すればすぐに見つかります。*4月末で更新を終了されています)。3月下旬から供給は増えてきており、日々たくさんの人たちがSNSで台湾パイナップルについて投稿しています。2022年の北京冬季五輪が終われば中国が台湾に武力侵攻するのではないか、という警戒が高まる中、今回の様な機会を捉えて我々が日本で楽しみながら美味しく食べて台湾に関心を持つ、ということは、とても意味のあることだと思っています。
【追記】4月25日の台湾・中央社の記事によると、日本への台湾パイナップルの輸出量が7,000トンと、全輸出量15,000トンの半分近くを占めているそうです。
21/4/25 中央社記事「台湾パインの輸出量、1万5000トン 半分近くが日本向け=農相」