弊社は基本的に台湾のものを取り扱っているのですが、パートナーよりタイ産の美味しいアラビカ種コーヒーの情報をいただいたので、日本に輸入して販売できるか探るべく、先週、生豆100キロを輸入してみました。これから皆様の知恵を拝借して商品化を進めていきたいと思います。
いわば「テスト輸入」なので、コストを抑えたく、通関はすべて自分で行いました。コーヒー生豆の通関は、1)植物防疫(植防)、2)輸入食品等届出、を終えてからの、3)関税申告まで、となります。植物防疫は農林水産省、輸入食品等届出は厚生労働省、税関は財務省の管轄となり、ワンストップでは終わらないのでなかなかしんどいです…
まずは植物防疫。横浜植物防疫所東京支所(かつての横浜港がいかに重要だったかを物語る組織体系です。関東・新潟から北(東)は北海道に至るまで、すべて横浜植物防疫所の管轄です)に事前に相談、検査時間を約束して、植物防疫官に大井コンテナふ頭の倉庫まで来ていただきます。目視で虫がいないか確認してもらう必要があるからです。規定に則り、5袋のうち3袋を開けて、虫の有無を確認。すぐに合格となりました。
問題はここから。植物防疫官は大井コンテナふ頭まで来てくれます。税関も東京税関の大井出張所があるのですが、輸入食品等届出をする厚生労働省東京検疫所食品監視課は大井に出先機関がありません。どこにあるかというと、東京港湾合同庁舎。台場の先の江東区青海2丁目、最寄り駅はゆりかもめのテレポートセンター駅、大江戸温泉の手前なんです。大井と台場をつなぐ海底トンネル、東京港トンネルはレインボーブリッジとは違って徒歩では渡れませんし、車がなければ、八潮団地入口バス停から日中は1時間に1~2本しかない井30系統・東京国際クルーズターミナル駅前ゆき、井32系統・東京テレポート駅ゆき、もしくは、井33系統・テレコムセンター駅前ゆき、の京急バスに20分ほど乗るしかありません(ちなみに、井30および井33系統には燃料電池バス「SORA」が1日5往復走っています)。
12時すぎに着きましたが、データを入力する担当者が昼休憩なので、13時まで作業に入れない、とか… こちらもランチにしたくても、周りにはなんにもありません。結局合同庁舎の食堂で時間を潰して、やっと輸入食品等届出済のスタンプをいただけました。ここからまた海底トンネルを越えて大井の税関に向かいます。
タイ産のコーヒーは関税ゼロなので申告して消費税のみを支払います。ところが、X線検査をするので倉庫からコーヒー生豆を持ってきてください、と… 麻薬や武器が入っていないか税関で確認(税関検査)することになっているそうです。取りに行くのではなく、持って来させるのですから、仮に麻薬や武器が入っていたとしてもいか様にもできると思うのですが… X線検査を終えて消費税を支払ったところで17時近く。まさしく1日仕事となりました。
下の表が2019年1月~8月までの東京港合計および大井、青海の各コンテナふ頭の輸入コンテナ取扱貨物量になります(令和元年8月分 東京港統計調査月報)。
東京港合計 | 2,300万トン |
大井コンテナふ頭 | 1,151万トン |
青海コンテナふ頭(公共) | 470万トン |
青海コンテナふ頭(埠頭(株)) | 342万トン |
大井コンテナふ頭のみで東京港に輸入されるコンテナ貨物の半数を扱っており、青海コンテナふ頭の合計取扱量より40%強も多いことになります。大井に厚生労働省の検疫所の出先機関を設けて、青海の合同庁舎に行かずに輸入食品の通関を済ませられる様にしないと、役所が個人通関(自社輸入通関)を阻害していると見なされても仕方ないのでは、と思いました…